颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
バイトを終えて帰宅すると、桐生颯悟は必ず起きて待っている。たいていはリビングのソファで書類を整理している。副社長だから忙しいんだろうけど。
「おかえり」
「ただいま」
「なにか食べる?」
「賄いいただいたんで大丈夫です」
今日のBGMも片想いソング洋楽版だ。結構ストイックだな、桐生颯悟。
どうしよう、早百合さんが結婚するかもしれないこと伝えた方がいいんだろうか。告白してもビミョーですよーって。
悠斗くんが反対すれば別だけど。
英会話対決は明日だ。これで決着がつけば私はお払い箱だ。寂しくなる。
*―*―*
午前10時、私と桐生颯悟はマンションを出た。
決闘の会場ははむはむカフェ。エントランス階に降りるエレベーターの中で私は早口言葉を練習していた。
「ナマムギナマゴメナマタマゴ。アカパジャマキパジャマアオパジャマ」
「なにそれ」
「早口言葉です。知らないんですか?」
「知ってるけど、それくらい。キミじゃあるまいし。オレが言いたいのは日本の早口言葉じゃなくて英語のじゃないと意味ないんじゃないのってこと」
「あ……ハハハ」
「キミ、バカ?」
相変わらずの毒舌だ。