颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
*―*―*

まあ、果たして、1時間後。

祐理恵さんのネイティブ講師はその老紳士だったわけで。


『こんな年寄りを親切に扱ってくれたミノーリは素晴らしい! ユリエは見習いなさい。英語というツールを覚えてもこうしてコミュニケーションで使えなければ意味がない』


と、今回も私が勝利して。

まあ、予想はしていたけれど、祐理恵さんがそれで引っ込むはずはなく。


「次期社長を補佐するには体力が必要よ! 今度は持久走で勝負よっ!!」


雪合戦よろしく投げつけられたオレンジは痛くて、でも、それを桐生颯悟は私の前に立ってかばってくれたりして。

早百合さんは床に転がったオレンジを一緒に拾ってくれた。しなやかな指先はほんの少しカサカサと荒れていて、こういうのも桐生颯悟の心をくすぐったりするんだろうなと思った。

薬指のリング、これ、どこかで見たことがある。石が埋め込まれているタイプの。確か……。

佐藤課長……?

まさか。
でも、待って。ユウキさんはシステム関連の会社に入社して、年齢は早百合さんより7つ下。早百合さんが42ならユウキさんは35。佐藤課長も35だ。
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