颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
「あ、あのう……☆§●※▽■〇×?!」
再び流し込まれる液体。桐生颯悟からのスポーツドリンクを飲み干す。喉に食道に、そして胃に染み渡っていくのがわかった。もっとほしい。目で訴えると三度、桐生颯悟はペットボトルを口にした。
餌を待つヒバリのように唇を半開きにして待つ。
3度目の口移し。からからだった口の中は潤って、だいぶ楽になった。喉も落ち着いた。すると口の中に冷たいものが割り込んでくる。
桐生颯悟の舌。スポーツドリンクで冷やされて、ひんやりしていて。
くるりと絡め取られて、体中の力が抜けてしまう。このひとのキスは私を心地よくさせる。体の芯がきゅうっと熱くなる。
うわあ……だめ……頭の中がふわふわしてきた。
ソファがギシリと揺れる。桐生颯悟の膝が座面と背もたれと私の間に割り込まれた。直後、私の頬に手が触れた。
顎を包むように当てられ、指が耳の裏にすべる。その間もキスは深い続けられて、私の意識は違う意味で朦朧とした。
ふわふわ……気持ちいい……幸せ……。
もっと。もっとほしい。
でも待って。桐生颯悟はどうして私にキスをするの?
早百合さんにふられて、もう、練習する必要はなくなったのに。
「そそそそそ颯悟さんっ」
「なに、みのり」
「ななななななんでキスを」
「キミがそそるから。キミの汗の匂いって、なんかそそるんだけど」