颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
私は慌てて自分のわきの下に鼻を寄せた。あ……匂う。あまりの恥ずかしさに桐生颯悟の胸を両手で突き押した。

でもヘロヘロの体では力も出ず、押しても桐生颯悟の胸はピクリともしない。

ニヤニヤと笑いながら顔を私の首元に近づけ、肌にキスを落とした。
その唇はしっとりと汗ばんだ肌に吸いつく。右の鎖骨に、左の鎖骨に。

胸元がもぞもぞとする。桐生颯悟の指がブラウスのボタンを外しにかかっていた。

え、え、えーっ!
いや、ちょっと、待って。

ひとつ、ふたつと片手で器用に外し、胸元をはだけさせた。ぐいっと襟を広げられ、桐生颯悟の唇は脇の下に向かう。

汗。汗が。
桐生颯悟、汗フェチ?
いや変態?

桐生颯悟の動きが突然止まった。
そういえば。


「……キミさあ。ムダ毛の処理したのいつ?」
「えっとですね、ここに来る前に、あれ、異動でバタバタしていて仙台にいたときかも……伸びてました?」
「仮にも女の子なんだし、こうして男と一緒に住んでたりするんだからちゃんとしなよ」
「すみません」
「とりあえずお風呂入ってきなよ。バスタブなお湯張ったから足をよくほぐしてきて。発泡タイプの入浴剤もいれといたし」 
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