颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
掃除だってそうだ。一緒に住んでるんだから分担したいと申し出ると、「掃除もごはんもひとりでしてたんだし。ひとりもふたりも変わらないでしょ」と桐生颯悟がすべて引き受けている。
優しくて調子が崩れる。なにより困るのは、どことなく桐生颯悟の私を見る目が優しいのだ。
なんで?
*―*―*
持久走対決、当日。
感心するほどの快晴の空の下、市営の運動公園で対決は行われた。陸上競技場は私たちの他は誰もいない。祐理恵さんが貸し切りにしたらしい。
審判員はなぜか佐藤課長。祐理恵さんが呼んだ。
「うちのサトーホテルズグループが祐理恵嬢の猪瀬物産にお世話になってんだわ。猪瀬物産っていったら農産物、とくにフェアトレードや有機栽培で有名だからねぇ。そういうのはホテルとしても箔がつくでしょ。ふぁああ」
そう説明して佐藤課長は眠そうに大あくびをする。
グリーンのコットンシャツにベージュのチノパンという私服が新鮮だけど、中身は相変わらず。
私と祐理恵さんはトラックの上でストレッチをして体をほぐす。
ルールは簡単だ。400メートルトラックをひたすらに走る。時間内に何周走れるか、それを競う。時間は1時間。
「位置について。ヨーイ、ドン!」
佐藤課長の手叩きで私と祐理恵さんは同時にスタートした。背も高くコンパスが長い分、祐理恵さんがリードした。ゆさゆさと揺れる大きな胸、流れる長い髪。かたやまったく揺れないパッド入りの胸、中学生みたいなおかっぱ頭の私。
知らない人が見たら訳の分からない対決だろう。
優しくて調子が崩れる。なにより困るのは、どことなく桐生颯悟の私を見る目が優しいのだ。
なんで?
*―*―*
持久走対決、当日。
感心するほどの快晴の空の下、市営の運動公園で対決は行われた。陸上競技場は私たちの他は誰もいない。祐理恵さんが貸し切りにしたらしい。
審判員はなぜか佐藤課長。祐理恵さんが呼んだ。
「うちのサトーホテルズグループが祐理恵嬢の猪瀬物産にお世話になってんだわ。猪瀬物産っていったら農産物、とくにフェアトレードや有機栽培で有名だからねぇ。そういうのはホテルとしても箔がつくでしょ。ふぁああ」
そう説明して佐藤課長は眠そうに大あくびをする。
グリーンのコットンシャツにベージュのチノパンという私服が新鮮だけど、中身は相変わらず。
私と祐理恵さんはトラックの上でストレッチをして体をほぐす。
ルールは簡単だ。400メートルトラックをひたすらに走る。時間内に何周走れるか、それを競う。時間は1時間。
「位置について。ヨーイ、ドン!」
佐藤課長の手叩きで私と祐理恵さんは同時にスタートした。背も高くコンパスが長い分、祐理恵さんがリードした。ゆさゆさと揺れる大きな胸、流れる長い髪。かたやまったく揺れないパッド入りの胸、中学生みたいなおかっぱ頭の私。
知らない人が見たら訳の分からない対決だろう。