颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
桐生颯悟の手はやわやわと私の肌をなぞる。筋肉疲労のたまったふくらはぎにはちょうどよかった。


「颯悟さん、私、マンションにはいつ帰りますか? あの、婚約も破棄されましたし」


そう聞いてみたけど、桐生颯悟からはなんの返答もなかった。
うつ伏せの声が聞こえなかったんだろうか。

BGMだけが流れる空間で気持ちよさに、つい、うっとりしてしまう。
いつの間にか桐生颯悟の手はどんどん上に上がって膝の裏まで来た。膝も気持ちいい。

すると手が太ももを割り入る。そわそわと手のひらでなでられた。
この手の動き、マッサージじゃない。なでなでというかおさわりというか。
一度そう意識してしまうと、桐生颯悟から伝わるものすべてが官能的に思えてしまう。手の動きも息づかいも、小さな動きすら、私の肌をひりひりとさせる。

ついに手がショートパンツの裾までじわりじわりと攻め上がってきた。


「や……ダ……ダメっ!☆§●※▽■〇×?!」
「弱いんだ、ここ。ふうん?」


桐生颯悟はマッサージという名の愛撫を続ける。つつーっと指先で上下する。
ダメ……ダメっ! なんで愛撫なの?


「なに悶えてるの。感じてるんだ。仙台でもこんなことされたの?」
「し、しませんよ。女の人だし」
「え、女性なの? みのりが指名してたのって。力があるっていうから」
「アマチュアバンドのギタリストで握力すごいんですよ、彼女」
「ふうん? キミのことだからたまった欲求も解消してもらってるのかと思った」
「まさか、そんなこ……いや、ひ……痛いっ!!☆§●※▽■〇×?!」
「バカ。油断するから」


ぎゅうぎゅう。油断していたら太ももの外側のツボを押さえ込まれた。痛い……。涙が出そう。
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