颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
もしかしてSとか?
片想い中の張本人を目の前に、好きじゃない、とはっきり言い切るくらいだし。
ポロリと口にしてしまう、ではなくて、図って口にするのかも。
「同棲ではなくてですね、同居です」
「そう? 桐生さんもユウキくんも同棲って言ってたけど?」
「なんといいますか、男のひとはその辺の境目を理解されてないんだと思います」
そっかなあ?、と首を傾げる早百合さんはやっぱり色っぽい。私もあんな風に年を重ねたいなー、なんて思う憧れのひとだ。
「そう言えば、佐藤課長と悠斗くん、いつ会うんですか?」
「明日。このビルのメンテナンスが入って営業できないから明日にしたの。ホテルのレストランを予約してる」
「そうですか。うまくいくといいですね」
「うん。悠斗も緊張してるみたい」
悠斗くんは今夜もここでバイトしている。テーブル席で注文を取っていた。確かに佐藤課長の面影はある。というか、髭を生やして髪を長くしたら瓜二つだし、背格好も似ている。あの凛とした背の伸ばしかたとか。
早百合さんは鼻歌混じりにお皿を洗う。
「楽しそうですね」
「明日が楽しみなんだもの。悠斗も悠季くんもどんな顔するかなって」
なんか違う意味で楽しんでいる。やっぱりSだ、早百合さん。
「ねえ、みのりさん」
「はいっ、なんでしょう?」