颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
「みのり、ランチ行こ? 早百合さんところ」
「はい。早百合さんとこ……あ。今日はビルのメンテで休業って言ってました」
「今日……。3人で会う日だったね」


特に気にする様子もなく、桐生颯悟は卵を溶くと二個目のオムレツを焼き始めた。


「平気なんですか?」
「うん。あの3人はもう、決まったも同然だし。みのりはどうなの?」
「どうなの?って。うまくまとまるといいなって。それだけです」
「ふうん」
「そしたら式挙げるんですかね。ウェディングドレス姿の早百合さん、きれいだろうな。佐藤課長もオールバックにしたらタキシード似合いそう……はぁ」


シンプルなIラインとかマーメイドとか、膨らみすぎないAラインも細身の早百合さんには似合いそうだ。佐藤課長も黒のタキシード着たら色気倍増だろうし。そしたら悠斗くんもタキシード着て、バージンロードを早百合さんの父親の代わりに歩くのも素敵かも。

トン。2個目のオムライスもカウンターに置かれた。黄金オムレツから湯気が立ち上り、バターの匂いが鼻をくすぐる。おいしそう。


「……いよ」


カウンターに回り、ひとつ向こうに座った桐生颯悟がなにかをつぶやいた。


「颯悟さん、今なんて」
「かわいいよ、きっとみのりのドレス姿も」
「そうですか? どうせ馬子にも衣装とか言うんでしょ?」
「そんなことないよ。ちゃんと採寸して似合うものを作ってもらえば」
「そういう相手もいませんし。絶賛片想い中ですし」

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