颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)

鈍いって。そんな自覚はなかったけれど。なんのことかさっぱり分からず、桐生颯悟の顔を見る。相変わらず目をそらして私を見ようとしない。

すると、顔をそらしたまま、目だけで私を見た。
瞬間、彼の頬に赤みが差して。


「みのり。出て行かないで。まだ同棲して?」


はい?


「なななんで。さっきまですごく怒ってたじゃないですか。早く出て行ってほしいみたいなこと言って、目障りだとか」
「だからごめん。やっぱり撤回する。出て行かないで。さっき、ほんの3分ひとりでいただけで寂しくなって。だから、いてほしい」
「でも。どうしてあんなこと言ったんですか?」

「みのりが佐藤課長を好きなのは知ってるけど、みのりだってふられたってことだよね? だったらオレが癒やしてあげるから。支社長狙ってるのも分かるけど、その前にオレのを見てほしくて。同棲続けてダメならあきらめるから。ダメ? みのり」


ん? 私が佐藤課長を好きですと?
本気で支社長を狙っているですと?

桐生颯悟、勘違いしている。それで私を追い出そうとしたってこと?
私の気持ちを尊重して同棲を解消しようとしたの?

それよりも、なに。あきらめるってなにを……。

ダメ。心臓が破裂しそうなほどに鼓動する。
それって、それって。なにをどう考えても。
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