颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
「今夜は、しない。だってアレもないし。その前に」


桐生颯悟は見下ろしながら私の前髪をすいた。なんども、なんども。


「初めての夜はちゃんとしたいから。ちゃんと準備してから。だから、今夜はキスだけさせて。オレ、もう限界」
「限界?」
「キス、もう何日もしてなくて……。みのりのキス、大好き。甘くて酸っぱくて苦くていろんな味がするから」
「そ、そうなんですか? そういうものなんですか?」
「みのりは違うの?」
「違くないですけど、颯悟さんのキスはひたすら甘くて、とろけるというか」
「じゃあとろけさせてあげる」
「いや、あの」
「もう、黙って。キスできない」
「颯悟さん、ん……んんっ!」


ちゅっと音を立てて唇が重なる。あ、すごく久しぶり。桐生颯悟のキス。何度も重ねては離れて、離れては重なって。

ブチューと唇を押し付けられて。
上唇をはまれて。下唇をはまれて。

あ……あったかい。


「思う存分させて?」
「はい……ん……んんっ!」

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