颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
「ちょちょちょ、颯悟さんっ!」
「みのりはキスされるの、イヤ? なんか嫌がってたよね」
「そ、そんなことは……」


桐生颯悟のキスは甘くてとろっとしていて、キスされると腑抜けになる。そんなキスをいっぱいされたらどんどん好きになって離れるのがつらくなるからキスをしたくないと思っていただけだ。

嫌いなんじゃない。むしろ、好きな訳で。

そんなことを考えていると桐生颯悟は私の顔をのぞき込んできた。
首を傾げて上目遣いに、ほんの少しより目にして。
もう、反則! 本日2回目のキュン死フラグ!


「みのり、ダメ? キスするの」
「し、してください。颯悟さんの気が済むまで」
「ホント? じゃあ、するね」
「☆§●※▽■〇×?!」


朝の爽やかな空気には似つかわしくない熱いキス。

ほんの少し苦いのは桐生颯悟がコーヒーを飲んだから。きっと桐生颯悟はミントの味がしただろう、私は歯磨きをしたあとだから。

なんか、生活感のあるキスだ。

こういうのって、同棲ならではのキスかも。
普通につきあっているだけなら、わざわざこんなタイミングでキスなんてしない。

ごはん前のキスなんて。


「あ、予約したからね。例の場所。週末って言ってももう明日だけど」
「え、あ、はい」
「キミの大好きな仙台支社長のオススメの宿だから」
「え?」
「付き合い始めてすぐのカップルが初めてお泊まりする宿でおすすめはありますか?って聞いたら教えてくれたよ」
「支社長オススメですか?」
「そう。最近仙台から引き抜かれたずんだ娘と行きますって答えといたから」


だからみのりは支社長のことはあきらめてよね、とにこにこ顔で桐生颯悟は言った。





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