颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
「なに遠慮してんの。俺が麦倉の年の時には課長やってたぞ」
「全然フォローになってないですってば」
佐藤課長は椅子に座るとジッポを手に煙草に火をつける。屈めた顔にぬれた前髪が垂れた。ぷうっと煙を吐いて私を見上げる。その色気に背中がゾクゾクした。
「キスマークか?」
「はい?」
「颯悟坊ちゃんもお盛んだな」
思わず襟のあたりを手で押さえた。
佐藤課長ニヤニヤと笑いながら煙草を吸う。
「え、いや、これはっ!」
「坊ちゃん、上手か? 隠さなくてもいい」
「いえ、だからキスはすっごく上手なんですけど、その、あれはしてなくてですね、でも明日の夜にはする予定で、宿を取ってくれたみたいで、仙台支社長のオススメとかで……あっ、☆§●※▽■〇×?!」
「ハハハ!」
なんてことを口走ってしまったんだろう。佐藤課長は大口を開けてゲラゲラと笑っている。ああ、もう恥ずかしい。穴があったら入りたい。