颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
前面に陳列されているのはオーソドックスな花柄パステル系や赤や黒のハデハデ系だ。

桐生颯悟はどんな下着が好みなんだろう。この前、黒の総レースので興奮してたっぽいけど、ああいう大人っぽいのがいいのかな。早百合さんみたいな大人の女性がタイプなわけだし。

でも持っている黒の総レースじゃ、間に合わせだと思われちゃうし。
初めてなんだから、やっぱり新しい下着で、それでいて色は……。

赤? いやいや派手すぎる。
ピンク? かわいすぎでしょ。


ブルル、ブルル、ブルル。鞄の中のスマホが震えた。着信だ。
取り出して見れば、発信元は桐生颯悟だった。


「もしもし、みのり? 急な会議が入って今夜は遅くなりそうなんだ。ごはん適当に作って食べて先に寝てて」
「はい」
「でも明日は大丈夫だから。ちゃんと片付けて帰るからね」


なんだか取り込んでるっぽい。
ということは今夜はひとりごはんだ。お風呂上がりの麦茶もおやすみ前のくつろぎタイムもひとりだ。

桐生颯悟に会えない。仕事だし仕方ないけど、ちょっと寂しい。


「みのり? どうしたの?」
「いえ。ちょっと寂しいなあ、なんて。ごめんなさい、お仕事ですもんね」
「みのりも寂しいって感じてるの?」
「ええ、まあ」

< 165 / 328 >

この作品をシェア

pagetop