颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)

沈黙が流れた。切なくて、寂しい沈黙。でもほんの少しあったかいような空気もあって。

だって、みのりも、なんて言いかた、桐生颯悟も寂しいと思ってるわけで。

切らなくちゃいけないのに、切りたくなくて。


「い、忙しいですよね、じゃ、明日……」
「うん……でも、今なら少し話せるけど」
「ほ、ホントですか? いまどこにいるんですか?」
「副社長室。資料を見てた。みのりは来たことないよね、今度入れてあげる。みのりはいまどこ?」
「えっと、ランジェリーショップです」
「ちょっ……」
「あ……!」


バカ、とつぶやく声が聞こえて再び沈黙が訪れた。男のひとの前で下着買ってますなんてちょっとデリカシーがなかった。

きっと今、想像してるに違いない。

いたたまれなくて、何かを話さなくちゃと思うけれど、赤どうですかー?花柄ピンク浮きますよねー?なんて聞けるはずもなく。


「ひょっとして……明日の、選んでるの?」
「あ、はい……」
「楽しみにしてる」
「あ……ありがとうございま、す」


また沈黙に襲われる。自分がもうだめだった。下着姿の私を桐生颯悟に品定めされてる気分になって、激しく緊張して、何を話していいのか分からなくなっていた。

そんなとき。
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