颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
マンションに帰って、ごはんを作って、桐生颯悟の分はラップをかけた。お風呂に入って、念入りに洗って。化粧水は顔だけでなく首や胸元までたっぷりつけて、エステでもらった保湿効果の高いクリームもまんべんなく塗った。
髪もオイル系のトリートメントをなじませてからよく乾かして。
だって、好きな人には自分の最高の姿を見てもらいたい。素材が素材だから限界は見えてるけど。
少しでも、よく見られたい。
部屋にもどって一泊する用意を終えてリビングのソファに座った。
そして時間つぶしに買ってきた文庫本を開く。
いつも桐生颯悟は私が帰宅するまで待っててくれたし。
だから彼が帰宅するまで待っていようかな、と。
*―*―*
……だめだ。集中できない。
ちゃんと桐生颯悟が抱いてくれるか不安になった。
まな板に豆粒だし。
年上だし。
色気ないし。
『やっぱりキミだよね。欲情できない』
とか言われそうで。
壁の時計を見れば午前1時。桐生颯悟はまだ帰宅してない。
ガチャガチャ。鍵の回る音がした。
スーツ姿の桐生颯悟が目をまあるくして、私を見つめた。
「まだ起きてたの?」
「お帰りなさい。なんだか眠れなくて」