颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)

「さすがは支店長ですね! そんな素敵なところをご存じだなんて」
「ふうん。みのりってホントに支店長大好きなんだね」
「あんな素敵なダンディに惚れない女性社員はいませんって。ファンクラブだってありますし!」
「あっそ。その大人気の支店長が言ってたけど、敷地が潤沢にあって隣の棟と離れてるんだって。隣近所に気遣わなくていいらしいよ。よかったね、みのり?」


にこっ。

さっきまでぶすくれていた桐生颯悟は突然、微笑んだ。

にこにこにこにこ。

このパターン。
天使の笑みに見せかけて、実は悪魔の笑み?
クる……これはなにかクるっ!!
背中がゾクッとした。


「そ……颯悟さん?」
「“うちの彼女がアノときに声を上げても安心ですね”、って答えといたから」


にこにこにこにこ。
ああ、悪魔だ……。


「まるで私が絶叫するみたいじゃないですか!」
「キミの名前は出してないけどね?」
「本社に引き抜かれたずんだ娘って……」

「だからキミだとは言ってないでしょ? あ、なに? 麦倉みのりと行きますって言ってほしかったの? じゃあ今度の会議のときに報告……」
「わーわーっ!! や、やめてください!」



支社長に会うことがあったらどんな顔をすればいいんだろう。

もう仙台には帰れない……。
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