颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)

*―*―*

着いた先は海からは少し離れた丘の上だった。閑静な別荘地帯で、海水浴場独特のゴミゴミした雰囲気はなく、建物も歩いているひとも走っている車もセレブな雰囲気をまとっていた。週末とあって入口にあるゲストセンターはレストランや売店もあり、宿泊客で賑わっていた。

受付を済ませてコテージに向かう。きれいに舗装された道路には歩道と街路樹。コテージたちもログハウス風のものから洋館風のもの、スタイリッシュなコンクリートのものなど、エリアによって建物の趣も違っていた。

桐生颯悟は平屋の純和風な建物の前で車を止めた。ここらしい、今夜の宿は。
重厚な木目調の引き戸を開けて中に入ると、目の前には広いリビング、その向こうは一面ガラス張りで海が見えた。太陽は黄みを増してオレンジ色に輝き、リビングのフローリングも照らしている。

木目美しい座卓と座椅子。竹細工のルームランプ。
意外と和物好きなのかも。江戸切り子のワイングラスとかコケダマとか持ってるし。車だって国産車だ。


桐生颯悟は荷物を奥の部屋に運んでいく。一段高くなった襖をすーっと開けた。

畳?
床の間、和紙のルームランプ。
障子、砂壁、押し入れ。

ひょっとして……寝室?

今夜、ここで?

布団を敷いて、桐生颯悟が布団をぱふっと開けて……。


「☆§●※▽■〇×?!」
「どうしたの? みのり」
「な、なんでもない……です」
「ウッドデッキに出てみる? 確か露天風呂もついてるはずだけど」
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