颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)

ちゅ。頬にキス。
ちゅ。鼻の頭にキス。

ああ、もう……そんな優しいキス。
かえってつらい。

とにかく、説明をしないと。私は重い口を開いた。


「……で……な訳でして。月の使者がやってきてですね。だから……で……なんです」
「はあ?」
「不可抗力と申しますか、確かに予定通りではあったんですけど」
「つまりは、そろそろ来るのは分かってたけど、オレが泊まりを提案したときには気づかなかった、と」


私の場合、一日違わずやってくるので予測は非常にしやすい。ただ今回は同棲やら祐理恵さんとの勝負やら桐生颯悟のキスやらですっかり忘れていて。

桐生颯悟は目をまん丸にして、その直後、はああ、と盛大なため息をついた。
脱力感たっぷりに私の体に頭をもたげた。

ああ、いたたまれない。このまま帰ってしまいたい。
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