颯悟さんっ、キスの時間です。（年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも？）

いま、カワイイ、って言った気がする。

いや、まさか。
そんなはずはない。散々、色気がないだの女子力低いだの言われてきたんだし。


「あの、颯悟さんもう一回」
「言わないから」
「そこをなんとか」
「聞き損ねたキミが悪い。みのりがカワイイなんて二度も言えないから！」
「颯悟さん……？」
「あっ……！」


桐生颯悟は、しまった、と言わんばかりに目を見開き、口元に拳をあてる。
その頬はほんのり赤くて。

直後、それをごまかすようにそっぽを向いてコーヒーカップを口に付けて。


「カワイイって言いましたよね？」
「……バカ」
「颯悟さん？」
「もう、うるさい！」
「え、あ、その……んんっ……」


桐生颯悟はカップを置いて立ち上がり、私の前に来ると畳の上に押し倒した。

朝から甘いキス。
コーヒーの味のはずなのに、とても甘く感じた。