颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
「あ……」


桐生颯悟は手を口元に当てると目をきょろきょろと動かして記憶を探っているようだった。


「思い出した、コンペでひどい目に遭って。ひょっとしてみのり、一晩中そばにいてくれたの?」
「ええ、まあ」
「……ありがと」


そっと抱き寄せられて、ちゅ、と唇を当てられて。
そしたらまた、ちょっと突き放されて。


「ごめん、風邪うつしちゃうね」
「いえ、今更ですし。それにアレは風邪引かないと申しますし」
「バカのことね」
「オブラートに包んだのにストレートに言わないでください、もう」
「それとごめん。昨夜するつもりだったのに」


眉をひそめて、少し切なそうな顔をした桐生颯悟。


「仕方ないですから。颯悟さんの体調がもどったら、あの、その、いっぱい……してください。先週の分も今週の分もたくさん……」


そうフォローすると、桐生颯悟の頬が赤く染まった。それはすぐに額にも耳にもひろがって、顔全体が真っ赤になって。


「……バカ」
「だって、その……んん、んっ!」
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