颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)

築30年でエレベーターもない、エントランスのロックもない、なんてことはあえて言わないけど。ついでに駅から徒歩25分も含めると優に2時間越すってことも。


「もっと近いところあるでしょ」
「家賃とか間取りとか優先したら、なかなかなくてですね。住所が東京都だからいいかなーと思って契約したら、意外と遠くてですね」
「ああ、もういい。送ってくから支度して」
「いや、でも」
「なに? それともロールスロイスじゃない車は乗れないっていうの?」
「そんなことひとことも言ってないじゃないですか」


とりあえず桐生颯悟所有のの車がロールスロイスでないことはわかった。いや、そうじゃなくて。


「とにかく、送る。それから明日の朝も迎えにいくから泊まる用意しておいて」
「はい?」
「毎晩送ってくの面倒だし、キミだってその方が楽でしょ。往復の通勤時間4時間って。時間がもったいないと思わないの?」
「それはそうですけど……」
「じゃあ決まり。あ、心配しないで。間違ってもキミを襲ったりしないから。部屋も空いてるし。嫌だと言っても業務命令だから。いいね?」
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