颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
そして桐生颯悟は視線をワンピースと私の間を数往復させた。


「似合うと思うけどね? 着てみたら?」
「ほら、桐生さんもそうおっしゃってるじゃない。みのり、ほら、行こ!」
「や、やだ! こ、こんなの着たって誰も見ないし」
「じゃあ、僕が見てあげる」
「はい?」
「お母さん、僕もご一緒していいですか?」


にこにこにこにこ。ああ出た、桐生颯悟のキラースマイル!


「じゃあ決まり! ぱあっといくよ!」


どうやら、私は母と桐生颯悟とこれからクラブに繰り出すらしい。




*―*―*


開店したばかりで人はまばらだったが、クラブに到着すると母は早速、中央で踊り始めた。

このクラブのお客さんたちは40代50代、昔のディスコ世代だ。母は見ず知らずの男女と楽しそうに躍っている。

きらきら光るミラーボール。
天井のカラフルなライト。
昔懐かしい洋楽は母が運転する車の中で散々聴かされた曲だ。

私と桐生颯悟は半2階のにあるVIPラウンジに腰を下ろした。
3人分のチャージ15000円とウイスキーをボトルキープして。

黒革のカップルシート、ホールとは強化ガラスで仕切られて音はさほど入ってこない。
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