颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
「颯悟さん?」
「信じられないよ……キミの過去にも未来にも嫉妬するなんて」


じっと私を見つめる桐生颯悟の瞳はわずかに揺れる。眉を寄せて、でも、あきれている風でもなく怒ってる風でもない。切なそうに、苦しそうに、でも私を見守るように。

見ている私の方まで苦しくなる。きゅうと心臓を握りつぶされるみたいに、キリキリと肌が切り裂かれるみたいに。

なに、この破壊力。だめだ、このままだと桐生颯悟の腕の中でバラバラ分解してしまう。


「そ、颯悟さんっ、や……ヤキモチですか? ヤキモチですか? ですよね??」
「うるさい。ドン引きしてるだけだから! 恋人がいるのにお見合いして恋人の前で元カレの話するなんて。ホント、バカ?」

私がからかうと、桐生颯悟は噴火するように顔を赤くした。
眉をひそめて困った顔をしつつも、瞳は潤んだままだ。
ひゃー、めちゃくちゃかわいい。

むぎゅう。私は再び桐生颯悟を抱きしめて彼の胸にうずくまった。
シャンプーの香りに混じって汗の匂いがする。


「颯悟さん」
「……なに」
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