颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
どうしてこうも差をつけるのか。着席したとたん、桐生颯悟の顔はぶすくれた。


「いくつですか? 年齢」
「早百合さん? たしか42って言ってたけど?」
「早百合さんじゃなくて、あなたの」
「アナタじゃなくて“颯悟さん”。ほら、言ってみて」
「嫌です。だって私のことキミっていうじゃないですか」
「名前で呼ばれたいの、キミ」
「はい」
「あのダサい名前で? 麦倉みのりって?」


クスクスと笑う。ほんとに嫌なヤツだ。


「オレは26歳、最年少役員。まあ、親の七光りだけどね。キミはいくつ? 24? 23?」
「えっ?? そんな風に見えますか?」
「いくつなの?」
「29ですけど」
「ええっ? 見えない」


拳を口元に当て、考え込んでいる。どうやら彼の癖らしい。
童顔で良かった。若く見えるのか。アラサー女にはうれしい限りだ。


「ありがとうございます。うれしいです。若く見え……」
「勘違いするな」
「はい?」
「オレが驚いてるのはキミの色気がなさ過ぎるから。ホント、信じられない」


これでアラサーなんて、とつぶやかれて。

アラサー女に対して色気を求める桐生颯悟。
ということは、あれ? 色気のある年上は興味あるってこと?
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