颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
気になる、気になる。知りたい、知りたい。桐生颯悟が二の足を踏む理由を。
深刻そうに大きなため息をつき、そろそろ帰ろうか、と桐生颯悟が伝票を持って立ち上がる。
「颯悟さんっ、私、化粧水忘れたんでコンビニ行ってきます! だから先に帰っていてください!!」
「キミ、ヒール大丈夫なの? 転んで買ったばかりの服を汚されるくらいなら最初から一緒に行ってあげるよ」
「だ、大丈夫です。練習だと思ってがんばりますんで」
「そう。そんな引け腰で歩いてたら職務質問されそうなんだけど?」
「職質されないようにしますんで」
じゃあエレベーターまで、と桐生颯悟は腕を貸してくれた。
優しいなあ、口は悪いんだけど。
*―*―*
と言っても、本当にコンビニに行きたかったわけではなく。
桐生颯悟を巻いたのはここに来たかったからで。人気のない夜のオフィス街の歩道で、早百合さんは看板をしまおうとしていた。
「こ、こんばんは」
「いらっしゃいませ。今日はあいにく店仕舞い……あ。あなた桐生さんの」
「はい。ちょっと酔い醒ましに来ました。でも閉店ですよね」
「飲み物なら出せるんだけど、いい?」
「はいっ。キンキンに冷えたアイスコーヒー飲みたいです」
ふふふ、と上品に笑う早百合さんはドアを開けて私を中に入れた。
深刻そうに大きなため息をつき、そろそろ帰ろうか、と桐生颯悟が伝票を持って立ち上がる。
「颯悟さんっ、私、化粧水忘れたんでコンビニ行ってきます! だから先に帰っていてください!!」
「キミ、ヒール大丈夫なの? 転んで買ったばかりの服を汚されるくらいなら最初から一緒に行ってあげるよ」
「だ、大丈夫です。練習だと思ってがんばりますんで」
「そう。そんな引け腰で歩いてたら職務質問されそうなんだけど?」
「職質されないようにしますんで」
じゃあエレベーターまで、と桐生颯悟は腕を貸してくれた。
優しいなあ、口は悪いんだけど。
*―*―*
と言っても、本当にコンビニに行きたかったわけではなく。
桐生颯悟を巻いたのはここに来たかったからで。人気のない夜のオフィス街の歩道で、早百合さんは看板をしまおうとしていた。
「こ、こんばんは」
「いらっしゃいませ。今日はあいにく店仕舞い……あ。あなた桐生さんの」
「はい。ちょっと酔い醒ましに来ました。でも閉店ですよね」
「飲み物なら出せるんだけど、いい?」
「はいっ。キンキンに冷えたアイスコーヒー飲みたいです」
ふふふ、と上品に笑う早百合さんはドアを開けて私を中に入れた。