颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)

「オジサンより、若い御曹司の方がいいってワケか」
「はい?」
「麦倉、桐生颯悟と同棲してるんだって?」
「☆§●※▽■〇×?!」


ふぁあ、と骨が溶けるような欠伸をしたあと、課長は得意の流し目で私を見下ろした。


「とぼけるなよ~。熱~いキスの目撃情報はつかんでるぞ」
「だだだ、誰から」
「おしめサマ」
「おしめサマ?」
「祐理恵嬢」
「ゆ……祐理恵さん? どうして佐藤課長が祐理恵さんをご存じなんですか?」
「知り合いのお嬢ちゃんでね。祐理恵嬢がおしめしてたころからのお知り合い」


口角を上げ、ニヤリと笑う。


「祐理恵ちゃん、怒ってたよ~。つっても、あいつはいつも噴火してるけどねぇ。ハハハ」
「ハハハじゃないです」
「あんまり怒らせないでよ。つき合わされる俺はたまんねえんだからさ。昨夜も午前様だぜ? 勘弁してくれよ。仮眠室行ってくるから何かあったら呼んでね」


手をヒラヒラさせて佐藤課長はオフィスから消えた。
マジですか。世間は狭すぎる。

あとで口止めしなくちゃ。




*―*―*
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