颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)

桐生颯悟から鍵を預かったので一緒に帰宅する必要はない。私は帰りがけにはむはむカフェに寄った。カウンターに座り、ひまわりナッツミルクティを注文する。

天井からつり下がるペンダントライトは裸電球で、暖かみのある色合いが、ひなたぼっこのように感じさせる。

昨夜、疑いの目で見てしまったこと、プライベートな話を聞いてしまったことを詫びると、早百合さんはあっけらかんと笑った。


「いいのよ、いいのよ。息子と恋人に見えたなら母親としてもうれしいわ。男の子ってホントにかわいいの。だから気にしないで」
「そう言っていただけると。じつは颯悟さんに怒られまして」
「え? 桐生さんに言われたの?」
「ええ、まあ」


私がそう答えると、早百合さんはケタケタと笑い出した。


「あの?」
「だって桐生さんはもっとストレートに聞いてきたわよ。悠斗に直接、“キミは早百合さんのなんなの?”、って」


ぶっ。思わず水を吹きそうになる。


「悠斗は息子ですって答えたらしいけど、そのとき桐生さんの顔が真っ赤になったって。桐生さん、かわいいわよねぇ」

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