颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
§暖かい背中とビミョーな告白
ピピ、ピピ、ピピ、ピピピピ……

スマホのアラーム音で目が覚める。今日もさわやかな目覚め……とは言い難かった。気だるさと胸の圧迫感を覚え、パジャマの上から胸をなでた。ブラをしている。息苦しい原因はこれか。

なぜ下着をつけたまま?
昨夜どうしたんだっけ?

一日中英会話スクールに突っ込まれて疲れて帰ってきて、ビーフシチューを食べた。ワインを飲んだ。お腹いっぱいになって眠くなって。そこからが思い出せない。

必死に記憶をたどる。桐生颯悟がみのりと呼んで肩に手を触れて、そのあとはふわふわして、魔法使いがいて、着替えさせてくれたはず……はず?

いや、待て。待てよ。
魔法使いが42階のタワーマンションの部屋にいるはずはない。


「☆§●※▽■〇×?!」


私は飛び起きてドアを開ける。バンっ。
桐生颯悟はキッチンで卵を溶いていた。私を一瞥すると手元に視線をもどす。

バターの香りが鼻をくすぐる。じゅわあっと卵の焼ける音。手早く菜箸を回す桐生颯悟。私を部屋に運んで着替えさせたのは彼に違いない。おやすみのキスも。


「おはよ。キミもオムレツでいい?」
「はい、オムレツで……そうじゃなくて!」
「シャワー浴びてきなよ。キミお風呂にも入らないで寝落ちしたから」
「そうですね。シャワー浴び……だから、そうじゃなくて!」
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