颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
なんだか棘のある……。まるで私がジャガイモ女っていわれてるみたいだ。


「じゃあ勝負しない? 私のカニクリームコロッケと麦倉さんのポテトコロッケ。美味しいほうが勝ち。で、勝ったほうが颯悟さんの婚約者になるの」
「そうだね。でも誰が審査するの? 僕が審査員ならどんなコロッケでもみのりのを選ぶよ。それでもいい?」
「そ、そんなの卑怯だわ!」
「でも僕のお嫁さんを決めるんだよね? 僕が美味しいって思わなければ意味がないしね。祐理恵さん自信あるんでしょ、こんなみのりに負けるつもりなの?」


にこにこにこにこ。桐生颯悟、何気にひどいことを言ってる。


「いいわよっ! 勝負しましょう。こんな田舎娘に負けなくてよ」
「じゃあ今度の週末でいい? 場所は僕のマンション。ね?」


ふん、と私を一瞥して祐理恵さんはくびれのある腰と長い髪を揺らしてエレベーターホールへ歩いていった。後ろ姿も結構美人なのに。性格はすごいわ。


「ねえ、キミ」
「はい?」


声をかけられて横を向く。さっきとは打って変わって顎をあげて呆れた顔をしている。声だって低いし。


「コロッケぐらい作れるよね?」
「いいえ」
「一番簡単な手料理だと思うんだけど」
「作ったことすらありませんけど」
「キミ……料理もできないの?」
< 9 / 328 >

この作品をシェア

pagetop