颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
階段に腰掛けたまま考える。こんなところ桐生颯悟に見られなくてよかった。キミ、バカ?ってののしられるところだった。

さっきから桐生颯悟のことばかりだな、私。
どうせ片想いだし、いいんだけど。思うのは私の勝手じゃん。誰にも迷惑かけてない。

あー、腰が痛い。ジリジリと痺れている。変なところ打ったな。ホントにバカだ。あまりの不甲斐なさに泣けてきた。

……桐生颯悟のバカ。


「おーい大丈夫か、麦倉みのり」


階上から声がして顔を上げると佐藤課長が降りてきた。立てるか?と言われて起きあがろうとするけど、腰が抜けて立ち上がれない。


「すいません、腰打ちました」
「そっか。坊ちゃまに迎えに来てもらうか」
「いえ大丈夫です。マンションもすぐそこだし、少し休めば……」


*―*―*
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