颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
「キミ、バカ? オレがキミを好きなんて……」
桐生颯悟は目をそらして壁を見つめる。その間にも頬に差した赤みは耳にまで広がって、桐生颯悟の顔全体が赤くなった。
どういうこと?
これって。
ドキドキドキドキ。自分の心臓の音が聞こえる。私はなにか勘違いしているだろうか。でもこんなに恥ずかしがられたら間違いようがない。
でも桐生颯悟は早百合さんを好きなんじゃなかったの?
私のこと……好き、とか?
「あの、颯悟さ、ん?」
「うるさい。オレがキミを好きなんてありえないから!」
桐生颯悟は視線を戻して私をぎろりと睨んだ。でも顔が真っ赤で威力は相殺されている。まっすぐに突いていた腕を折り、肘をベッドに突いた。
すうっと降りてきた桐生颯悟の顔。鼻と鼻がくっつきそうになる。お互いの息づかいが聞こえる位置。
これ、肘ドンですか?
近すぎる。桐生颯悟の恥ずかしがる顔を堪能する余裕がない。かわいいのに。
もうダメ。心臓が破裂しそう。
「ねえ。さっきのお礼の話、今もらっていい?」
「えええ、えっと、あああ、足腰たたないですけど、ななななんでしょう?」