最恐ドクターの手懐けかた II




「ねぇ、みんな勤務中に何やってるの?」




私の最も嫌う声が聞こえてきた。

その声が聞こえた瞬間、遠藤先生がブチッとパソコンの電源を切った。

そして、みんながすすーっとパソコンから退いていく。

そんなスタッフたちを見て、



「さっきの曲、何の曲?」



意外にもそこに食いつく桃尻先生。

漢マンの曲は、桃尻先生の興味さえ引くのか。

感心してしまう私の横で、



「桃尻先生、仕事してください」



優奈ちゃんが仏頂面で言う。




「戸崎さん、今日退院なんでしょ?

ウテメリン処方しなくていいんですか?」




わざとらしいその言葉に、スタッフは乾いた笑い声を上げた。

そして、桃尻先生は真っ赤な顔で口を噤んでいた。

ザマアミロ、いい気味だ。

心の中で笑っていた。


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