最恐ドクターの手懐けかた II
もっとはやく気付くべきだった。
艶と言ったら、日本人なら知らない人はいないほど有名な人だ。
興味本位で来たと思われるに決まっている!
「すみません……」
ここはおとなしく遠藤先生と一緒に来るべきだろうか。
いや、艶の子供だとバレたくない遠藤先生は、お見舞いにすら来ないかもしれない。
仕方なく産科病棟へ戻ろうとした時……
813号室の扉が開いた。
そして、金髪の男が顔を出す。
彼は私を見て、
「奈々ちゃん?」
初めて名前を呼んでくれた。