最恐ドクターの手懐けかた II
そんな訳で、超ド派手なランボルギーニ……ではなく、珍しく地下鉄でスタジアムに向かった。
アスール東京の試合がある日は、スタジアム付近は大行列が出来るからだ。
地下鉄に乗る遠藤先生は、アスール東京の青いユニフォームを着ているというのに、いつもよりも全然目立っていなかった。
その痛々しい視線を浴びずに済むと思うとホッとする。
私はそんなことを考えているのに……
遠藤先生はぎゅっと手を繋いでくれたり、地下鉄に人が増えてきたら私を抱きしめるようにして守ってくれたりして、不覚にもドキドキが止まらなかった。
思えば、遠藤先生とは恋人らしいことは何一つせず、夫婦になってしまった。
たった一度のあやまちだって、記憶すらない。
こうやって、今好きを積み重ねているのだなと実感した。
だけど、これ以上好きになったら困ってしまう。