最恐ドクターの手懐けかた II
彼は腕を組んで私の前に仁王立ちして、
「てめぇ、そんな中腰で雑巾がけしてもいいのか!?」
凄む。
でも、もはや彼に慣れてしまった私にとって、その威嚇は恐怖でも何でもなかった。
「すみません。
私しか手の空いている人がいなくて」
そんな私に、
「貸せ」
ぶっきらぼうに言い放ち、雑巾をぶんどる遠藤先生。
「ちょっと!
何してるんですか!?」
悲鳴のような声を上げる私の前で、彼は部屋を綺麗に雑巾で拭き上げ、消毒のアルコールをかける。
こんな雑用、医師の仕事ではないのに。
しかも、遠藤先生が雑用をしているところ、初めて見たよ。