最恐ドクターの手懐けかた II




突っ立って震える私に近寄る遠藤先生。

逃げないといけない、そう思いつつも、身体が震えて動かなかった。




「また来るから。

すぐに来るから」




そう言い残して扉を開けた遠藤先生は、扉のすぐ隣で聞き耳を立てる私と鉢合わせした。

その切なげな表情は一変し、見慣れた怒りの表情へと変わる。






「桃尻……てめぇ……」



唸るように発せられたその声に怯えつつも、



「遠藤先生……すみません」



頭を下げていた。




「私のせいで……

私の自分勝手のせいで、冴木さんが……」


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