最恐ドクターの手懐けかた II





遠藤先生は腕を組み、何も言わずしばらく私を睨んでいた。

次にどんな怒りの言葉が返ってくるだろう、そう思ったが……






「お前のせいではねぇよ」




イラついたように吐き捨て、白衣を翻して行ってしまう。

そんな遠藤先生の後を追いかけていた。




「どうしてです?

私、冴木さんに無理させすぎたり……酷いこと言ったり……」





あぁ、駄目だ。

考えるだけで涙が溢れてくる。

私、医師をやめたほうがいいのかな。





だけど、鬱陶しそうに彼は答えた。




「大丈夫な奴は、何をやっても大丈夫だ。

駄目な奴は、何をやっても駄目だ」



「……え?」



「俺はあいつが切迫になるなんて、思ってもいなかった。

分かっていたら、この身を張ってでも仕事を辞めさせた」


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