最恐ドクターの手懐けかた II





「不思議ですね。

遠藤先生なんて大嫌いだったのに」



ぽつりと呟く私に、



「嫌いとか言うな。

寂しくなるだろ」



彼は言う。

こんな素直な彼が大好きだ。





暗闇の中、遠藤先生を見る。

白衣を脱いで緑色の術衣だけを纏っている彼は、ぼーっと天井を見つめていた。

仕事をしている時とは違う、その柔らかな瞳にきゅんとする。





こんな私の視線に気付いた遠藤先生は、



「何見てんだ」



低い声で呟き、ぎゅっと私を抱きしめる。

その胸に抱かれて、微かな遠藤先生の香りと消毒の匂いに頭がおかしくなりそうだ。


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