最恐ドクターの手懐けかた II





目を閉じた私の耳に、


ピリリリリ……


耳障りな電子音が聞こえた。

遠藤先生は舌打ちして身体を起こし、白衣のポケットからピッチを取り出す。





「はい、遠藤です」




その声は、あからさまにイラついていた。




「……はい、すぐ行く」




そう言ってぶっきらぼうに電話を切った遠藤先生は、申し訳なさそうに私に告げた。




「大量出血した妊婦が運ばれてくる。

一緒にいられなくて悪い……」


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