最恐ドクターの手懐けかた II
私の視線に気付いた桃尻先生は、勝ち誇った顔で私を見て「何か?」と聞く。
だからそのまま素通りしようとした。
だけど、
「冴木さん?」
その声には悪意が感じ取れた。
そのまま、彼女は敵意丸出しで私を睨みながら言う。
「315号室の戸崎さん、採血しておいてくれる?」
「……はい」
敵意丸出しの返事をして、ナースステーションを出ようとする。
そんな私を、
「冴木」
相変わらず桃尻先生にべったりされている遠藤先生が呼ぶ。
彼は気まずい顔すらせず、私に告げた。
「戸崎みどり、俺のいとこの妻だから」
それを無視して、足早にナースステーションを後にした。
あんたの変態男優いとこなんて知らねぇよ!
桃尻先生とべったりしているのを見せつけたかったの!?
「失礼します」
私はイラつきながら315号室の扉を開けた。