最恐ドクターの手懐けかた II





私の視線に気付いた桃尻先生は、勝ち誇った顔で私を見て「何か?」と聞く。

だからそのまま素通りしようとした。

だけど、



「冴木さん?」



その声には悪意が感じ取れた。

そのまま、彼女は敵意丸出しで私を睨みながら言う。




「315号室の戸崎さん、採血しておいてくれる?」



「……はい」



敵意丸出しの返事をして、ナースステーションを出ようとする。

そんな私を、



「冴木」



相変わらず桃尻先生にべったりされている遠藤先生が呼ぶ。

彼は気まずい顔すらせず、私に告げた。




「戸崎みどり、俺のいとこの妻だから」




それを無視して、足早にナースステーションを後にした。




あんたの変態男優いとこなんて知らねぇよ!

桃尻先生とべったりしているのを見せつけたかったの!?





「失礼します」




私はイラつきながら315号室の扉を開けた。



< 25 / 406 >

この作品をシェア

pagetop