最恐ドクターの手懐けかた II
いつの間にか妊娠34週を迎えていた。
お腹は大きく突き出し、力強い胎動を四六時中感じる。
あと三週間頑張れば、いつ赤ちゃんが生まれてもおかしくない期間となる。
長い入院生活だった。
だけど比較的前向きに過ごすことが出来たのも、病棟のスタッフやみどりちゃん、何より遠藤先生が近くにいてくれたからだろう。
診察室を出ると、桃尻先生と鉢合わせた。
新たな研修先に異動した桃尻先生だが、会うときはいつもこんな暗い顔をしている。
桃尻先生なんか大嫌いだし、無視してやりたかったが……
「切迫になってしまい、ご迷惑をおかけしました」
私は頭を下げていた。