最恐ドクターの手懐けかた II
突っ立って桃尻先生を見ている私に、
「お前、退院なんだろ?」
後ろから声をかけられ、思わず飛び上がった。
すると、
「そんな動きするな!
また頸管が開いたらどうすんだ!?」
怒りに満ちたその声が聞こえる。
だから私は振り返り、
「すみません……」
久しぶりに謝った。
今回の入院で、遠藤先生にもたくさん迷惑をかけてしまった。
それはもちろん金銭的な負担もあるのだが……
病棟の人手不足に加え、新婚なのに家に帰れないこと。
それに、健太のことだって。
だけど遠藤先生は嬉しそうに、
「良かったな」
私の頭をそっと撫でてくれる。