最恐ドクターの手懐けかた II





健太はふっと笑った。

そして、まあ仕事なんだけどね、と言う。

健太は仕事でここにいて、偶然出会ってしまったというのだ。

どんな偶然だ。

そしてその偶然を呪わずにはいられない。

入院中のように自宅にも健太に押しかけられたら……ぞっとした。





そんな私を見て、笑いながら彼は言う。




「俺、今ユーチューバーの事務所で働いているんだけど……」



「……え?」



「ここに漢マンってユーチューバーが住んでいるらしくて。

スカウトしようとしているんだ」





その言葉を聞いた瞬間、逃げ出したくなった。

恐ろしくて身体の血の気が引いた。

血の気が引くってこういうことかと思うほど、すーっと身体が寒くなった。


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