最恐ドクターの手懐けかた II
「俺、そんなに忙しくねぇよ。
店では邪魔者扱いだし、子供たちも成人したしな」
店長はそう言って……
遠藤先生に一枚のCDを渡した。
鮮やかな緑色の草原が月明かりの下に広がっているパッケージには『F Re:green』銀色の文字で小さく描かれていた。
これはまさか……
「は?あの曲はアルバム収録曲の一つだろ?」
顔を歪める遠藤先生に、
「アルバム収録曲の一つだが、表題曲だ。
琥太郎君の曲を聴いて、俺たちマジで泣いたんだ。
蒼はもちろん……琥太郎君のお父さんだって号泣してたぞ」
マジで!?
遠藤先生、そんな泣かせる曲を作ったの!?
漢マンの悪ノリの変な曲なんじゃないの?
もっと言うと、MVは裸で……
「いい感じに仕上がったぞ。
聴いてみてよ」
遠藤先生は渋っていた。
だけど、自分の曲がどう演奏されたのか気になって仕方がないのだろう。
CDをパソコンに押し込み……
その、泣かせる曲が流れ始めた。