最恐ドクターの手懐けかた II
今までは動くなと言われ、これからは動けと言われる。
そのギャップに戸惑うばかりだが、もう何も恐れることはない。
……いや、最後の恐怖が待っている。
『出産』という、人生最大の痛みが待っているのだ。
助産師として数々の出産を見てきた私は、その現場を知っている分恐怖が大きい。
痛みに対する恐怖はもちろん、出血や分娩異常のトラブルなど、考え始めたらキリがないのだ。
だけどそんな弱音を遠藤先生の前で吐けるはずもなく、一人で悶々と考えていた。