最恐ドクターの手懐けかた II
思い返せば遠藤先生と、夫婦らしい生活はほとんどしていない。
妊娠初期は妊娠について黙っていたり、桃尻先生事件があったりした。
妊娠中期に入ってから、切迫でずっと入院していた。
そして今はもう、出産を待つだけだ。
遠藤先生にも心配かけて我慢ばかりさせてしまって、申し訳ないと思う。
「すみません……」
思わず謝ると、
「気にすんな。
お前が元気なのが一番だ」
遠藤先生らしくない優しい言葉が返ってくる。
病棟のみんなは、こんな遠藤先生を見ると驚くだろうな。なんて思って笑ってしまった。