最恐ドクターの手懐けかた II
採血をしてナースステーションに戻ると、遠藤先生はまだ桃尻先生とイチャイチャしていた。
だけど、みどりちゃんに話を聞いてもらって少しスッキリした私は、二人を目に入れないように仕事をして、定時でそそくさと帰る。
「冴木」
遠藤先生が私を呼んだが、華麗に無視してあげて。
遠くで
「冴木さん、嫌な感じですネ」
なんて桃尻先生の声が聞こえて、嫌な感じはあなただと心の中で悪態をついた。
そして、遠藤先生との豪華な新居ではなく、小さな実家に帰った。
お母さんは結婚早々すぐに帰ってきた私を見て驚いていたが……
「大丈夫。
私はシングルマザーになっても生きていけるから」
呪文のように呟いていた。