最恐ドクターの手懐けかた II







「大丈夫か?無理するなよ?」



「何か食えるか?飲めるか?」



「痛いよなぁ……マジで痛いよなぁ……」




顔を歪めて私の背中をさする遠藤先生は、その緑色の術衣が変色するほど汗びっしょりだった。

そんな遠藤先生に胸を焦がしながらも、この人のためにも頑張らなきゃと強く思った。





だが……子宮口が開かないのも事実。




「まだ三センチです」




優奈ちゃんが申し訳なさそうに告げる。

こんなにも痛いのに、こんなにも我慢出来ないのに、まだまだ先は長いのか。




「でも、子宮口が柔らかくなって上を向いていますよ。

もう少しです」




その言葉がすごく励みになる。




今までは気にしたこともなかった。

助産師の言葉がどれだけ助けになるのか。

前向きにしてくれるのかを。


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