最恐ドクターの手懐けかた II





「見ていてください……」




私は何を言っているのだろう。

遠藤先生なんかに絶対に見られたくないと思ったのに。




「一緒にいてください……」





その瞬間、再び陣痛に襲われる。

身を屈めて布団を掴み、必死に声を押し殺す私の背中を、遠藤先生が撫でてくれる。




「奈々……頑張れ……」




その言葉が力になる。

遠藤先生が一緒にいてくれれば、きっと乗り越えられる。




「愛してるから」




こんな時にそんなこと言わないで欲しい。

だって、涙が止まらないから。


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