最恐ドクターの手懐けかた II








それから……




時間をかけて陣痛は強くなっていった。

そして体力も消耗していった。

今はもう、次に来る陣痛の波に備えて目を閉じ、腰を金槌で打たれるような痛みに悲鳴を上げた。

まるで金切り声みたいなその悲鳴を、遠藤先生はじめスタッフに聞かれることを恥ずかしい、なんて思う余裕もなかった。

そして、鬼の遠藤先生は無力だった。

汗びっしょりになってただひたすら私の腰をさすり、時々見にくるスタッフに邪魔者扱いされていた。





そんな遠藤先生、子供が元気なのかはやっぱり気になるようで、時々モニターを眺めている。

遠藤先生が何も言わないということは、きっと赤ちゃんも元気なのだろう。

一人で出産しようと決めていたのに、遠藤先生が一緒にいてくれることがこんなにも心強いなんて。


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